サウジアラビアでの住居選び完全ガイド:快適な海外生活を送るための秘訣と注意点


サウジアラビアへの赴任や移住が決まった際、最も大きな不安要素の一つが「住まい」ではないでしょうか。「砂漠の国での生活は想像がつかない」「治安や文化の違いを考慮した住居選びはどうすればいいの?」と悩むのは当然のことです。

異国の地、特に独自の文化を持つサウジアラビアでの生活を豊かにするためには、住居選びが最大の鍵となります。この記事では、現地での住居の種類から、エリア選定のポイント、契約時の注意点まで、実際に住む視点に立って詳しく解説します。


サウジアラビアの住居スタイル:コンパウンドと一般アパートメント

サウジアラビアで外国人が住む場所は、大きく分けて「コンパウンド(外国人居住区)」と「一般のアパートメント(市街地のマンション)」の2種類があります。

1. 外国人向けの楽園「コンパウンド」

多くの駐在員やその家族が選ぶのが、高い塀に囲まれた広大な敷地内に住宅が並ぶ「コンパウンド」です。

  • 生活環境: 敷地内はサウジアラビアの厳格な宗教的ルール(公共の場での服装規定など)が緩和されていることが多く、欧米に近いライフスタイルを送れます。

  • 施設: プール、ジム、レストラン、スーパーマーケット、テニスコート、さらには幼稚園や学校への送迎バスが完備されている場所も少なくありません。

  • 安全性: ゲートには24時間の警備体制が敷かれており、セキュリティ面での安心感は抜群です。

  • コミュニティ: 多国籍な住民が集まっているため、休日にバーベキューを楽しんだり、住民同士の交流が盛んです。

2. 現地の暮らしを体感する「一般アパートメント」

現地の都市部に建つ一般的なマンションやヴィラを借りる選択肢もあります。

  • コスト: コンパウンドに比べると家賃を大幅に抑えることができます。

  • 利便性: 市街地にあるため、地元の商店やショッピングモールに近く、現地の生活をより身近に感じられます。

  • 注意点: セキュリティや共用施設の充実度はコンパウンドに劣ります。また、現地の文化や習慣(騒音やプライバシーへの配慮など)をより尊重する必要があります。


失敗しないためのエリア選定ポイント:リヤド・ジェッダ・東部州

サウジアラビアは広く、都市によって住環境の特性が異なります。

首都リヤド(Riyadh)

政治・経済の中心地であるリヤドは、高級なコンパウンドが集中しています。

  • 北部エリア: 近年開発が進んでおり、高層ビルや新しいショッピングモール、高級住宅街が広がっています。キング・アブドゥラー金融地区(KAFD)周辺は特に人気です。

  • 交通渋滞: リヤドの最大の課題は渋滞です。職場や子供の学校からの距離を最優先に考えるのが賢明です。

港町ジェッダ(Jeddah)

紅海に面したジェッダは、昔から商人の町として栄え、リヤドに比べると開放的な雰囲気があります。

  • シーサイドライフ: 海沿い(コーニッシュ)には景観の良い物件が多く、リゾートのような雰囲気を楽しめます。

  • 気候: 通年で湿度が高いですが、冬場は非常に過ごしやすく、アウトドア活動に適した住環境です。

東部州(アル・コバール、ダマーム)

石油産業の拠点であり、隣国バーレーンに近いエリアです。

  • 越境の利便性: 週末に橋を渡ってバーレーンへ遊びに行くことができるため、リフレッシュしやすい環境です。アラムコ社などの巨大企業に関連する質の高い住居が多く存在します。


快適な室内環境を整えるためのチェックリスト

サウジアラビアの過酷な気候を乗り切るためには、物件の内見時に以下のポイントを必ず確認しましょう。

空調設備(エアコン)の性能

夏場は気温が50度近くになることもあるため、エアコンは命綱です。

  • 中央冷房(セントラルAC): 建物全体で管理されているタイプは、冷房効率が良い一方で、個別の温度調節が難しい場合があります。

  • スプリット型: 部屋ごとに設置されているタイプ。メンテナンスが容易かどうか、効きが悪くないかを確認してください。

断熱性と遮光

  • 窓の構造: 二重窓(ペアガラス)になっているか確認しましょう。外の熱気を遮断し、電気代の節約にもつながります。

  • 遮光カーテン: 強い日差しを遮るために、厚手の遮光カーテンの設置が可能か、あるいは既についているかを確認します。

水回りの設備

  • 水圧と給湯器: シャワーの水圧が十分か、お湯が安定して出るかを確認します。サウジアラビアでは各戸に小型の電気給湯タンクが設置されているのが一般的です。

  • 浄水器: 水道水は基本的には淡水化された海水です。飲料用にはウォーターサーバーを契約するか、キッチンに高性能な浄水器を設置するのが一般的です。


契約前に知っておくべき手続きとコスト

日本とは商習慣が異なるため、契約プロセスには注意が必要です。

1. 家賃の支払いサイクル

日本では月払いが一般的ですが、サウジアラビアでは**「1年分または半年分の一括前払い」**が主流です。多額の現金が必要になるため、会社支給の場合は事前に振込時期を調整しておきましょう。

2. 「Ejar(エジャール)」システム

サウジアラビア政府が導入している電子賃貸契約システム「Ejar」を通じた契約が義務付けられています。これにより、貸主と借主の権利が保護され、トラブルを未然に防ぐことができます。必ずこのシステムを通しているか確認してください。

3. 公共料金の負担

家賃に水道代や電気代が含まれている(All Inclusive)のか、別途支払いが必要なのかを確認します。特に夏場の電気代は高額になるため、契約内容の把握が重要です。

4. 家具付き(Furnished)か家具なし(Unfurnished)か

  • 家具付き: すぐに生活を始められるメリットがありますが、家賃は高くなります。

  • 家具なし: 自分の好みの家具を揃えられますが、冷蔵庫や洗濯機、オーブンなどの大型家電も自分で購入・設置する必要がある物件が多いです。


治安とプライバシーへの配慮

サウジアラビアは世界的に見ても犯罪率が低く、治安が良い国とされていますが、文化的な配慮は欠かせません。

  • 家族のプライバシー: サウジアラビアの住宅設計は、家族のプライバシーを守るために窓の位置が高い、あるいは外から見えにくいよう工夫されています。隣家との距離感や視線についても配慮が必要です。

  • 単身者と家族連れ: 独身男性向けの住宅エリアと、家族向けのエリアが明確に分かれている場合があります。物件探しの際は、自分の属性に合ったエリアかどうかを不動産業者に確認しましょう。


まとめ:最高のサウジアラビア生活をスタートさせるために

サウジアラビアでの住居選びは、単なる「寝る場所」探しではありません。過酷な外気から身を守るシェルターであり、異文化の中での貴重なリラックススペースとなります。

特に初めてのサウジアラビア生活であれば、多少コストがかかっても、サポート体制が整ったコンパウンドを検討することをお勧めします。生活に慣れてきたら、よりローカルなエリアへ移るという選択肢も広がります。

物件探しは「百聞は一見にしかず」です。インターネットの情報だけで決めず、必ず現地の雰囲気を感じ、水回りやエアコンの稼働状況を自分の目で確かめてください。

この記事が、あなたのサウジアラビアでの新しい一歩を支える、素敵なお住まい見つけの助けになれば幸いです。