草刈機のキャブレター掃除手順:エンジン不調を解消する完全ガイド


草刈機が**「エンジンがかかりにくい」「アイドリングが不安定」「吹け上がりが悪い」といった不調を起こしている場合、その原因の多くはキャブレター(気化器)の詰まり**です。特に、燃料タンクに長期間放置されたガソリン(混合油)が変質し、内部の細い通路(ジェット類)を塞いでしまうことで起こります。

キャブレターの掃除は、専門的な作業に思えますが、手順を守って行えば、自分でエンジンの調子を取り戻すことが可能です。

この記事では、草刈機に使われるキャブレターの構造を理解し、始動不良を解決するための具体的な掃除手順と注意点を解説します。


1. 準備と安全対策

1-1. 必要な工具と材料

項目用途
キャブクリーナー詰まりの原因となる燃料のカスやスラッジを溶かす。
パーツクリーナー部品に付着した汚れを洗い流し、水分を蒸発させる。
精密ドライバー小さなネジや部品の取り外し。
プラグレンチ点火プラグの取り外し。
薄手のゴム手袋キャブクリーナーやガソリンから手を保護。
ウエス/キッチンペーパー燃料やクリーナーを拭き取る。
新しいガスケット/ダイヤフラムキット古いパッキンは再利用せず、可能であれば新品に交換推奨。

1-2. 安全と作業環境

  • 換気:キャブクリーナーは刺激臭が強いため、必ず換気の良い屋外で行ってください。

  • 燃料抜き:作業前に、燃料コックを閉め、タンク内の古い燃料を完全に抜き取り、安全な容器に保管します。


2. キャブレターの取り外し手順

  1. エアクリーナーの取り外し:エアクリーナーのカバーを外し、フィルターエレメントを取り出します。

  2. チョーク・スロットルワイヤーの分離:キャブレターと繋がっているチョークレバーやスロットル(アクセル)ワイヤーを慎重に外します。

  3. 燃料ホースの切断・分離:燃料ホースがキャブレターに繋がっている部分を外します。古いホースは劣化している可能性があるため、ホースバンドを緩めて引き抜く際に破損させないよう注意が必要です。

  4. キャブレター本体の取り外し:キャブレターをエンジンに固定しているボルト(通常2本)を外し、**ガスケット(パッキン)**を紛失しないように注意しながら、本体を取り外します。


3. キャブレターの分解と洗浄(ダイヤフラム式が一般的)

草刈機に多く使われる**「ダイヤフラム式キャブレター」**を想定した手順です。

3-1. ダイヤフラムカバーの分解

  1. キャブレターの両面にある**カバー(ダイヤフラムカバーとポンプカバー)**を固定しているネジを外します。

  2. カバーを外し、内部にあるダイヤフラム(薄いゴムの膜)ガスケットを取り出します。これらはデリケートな部品なので、破損させないよう注意し、状態が悪ければ交換します。

3-2. ジェットと通路の清掃

キャブレターの心臓部であり、詰まりやすい部分です。

  1. 本体に残っているメインジェットやアイドルジェットの穴を目視で確認します。

  2. キャブクリーナーを、ジェットの穴や燃料が通る細い通路に向かって強力に吹き付けます。クリーナー液が別の穴から勢いよく出てくるのを確認できれば、詰まりが解消された証拠です。

  3. 注意ワイヤーや針金で無理に穴をほじくると、口径が変わってしまい燃料調整ができなくなるため、絶対に使用しないでください。キャブクリーナーの圧力だけで詰まりを押し出すようにします。

  4. すべての通路を清掃した後、パーツクリーナーを吹き付けて残留したキャブクリーナーや溶けた汚れを完全に洗い流し、乾燥させます。

3-3. プライマリーポンプの確認

燃料を吸い上げるための**プライマリーポンプ(透明な丸いボタン)**を外し、内部の逆止弁が正常に機能しているか、亀裂がないかを確認し、ポンプ内部にもクリーナーを吹き付けます。


4. 組み立てとエンジンの調整

  1. 組み立て:分解した手順と逆の手順で、新しいダイヤフラムやガスケットを挟みながら、正確に部品を組み付けます。

  2. 取り付け:キャブレターをエンジンに戻し、燃料ホースやワイヤーを元通りに接続します。

  3. 始動と調整

    • 新しい燃料を入れ、プライマリーポンプを数回押して燃料を満たします。

    • エンジンを始動し、しばらく暖機運転を行います。

    • アイドリングが不安定な場合は、キャブレターにある**アイドル調整ネジ(Tネジ)**を少しずつ回して調整し、安定したアイドリングになるように設定します。

重要な注意点:キャブレターは精密部品の塊です。内部には燃料の混合比率を調整する調整ネジ(L/Hネジ)がありますが、ここは知識がない状態で絶対に触らないでください。このネジを不用意に回すと、混合比率が狂い、エンジンが焼き付くなど致命的な故障につながります。調整は必ず専門の技術者に依頼しましょう。

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