もう焦らない!草刈機エンジンの始動不良を解決する究極ガイド
草刈りを始めようとしたのに、エンジンがかからない…そんな経験はありませんか? 特に久しぶりに使う時や、急いで作業したい時に限って起こる始動不良は、大きなストレスになります。
草刈機のエンジンがかからない原因は、燃料系、点火系、吸気系など、いくつかのポイントに絞られます。焦って何度もリコイルスターター(引っ張る紐)を引くと、かえって**「プラグかぶり」(オーバーチョーク)**という状態になり、さらにかかりにくくなります。
この記事では、草刈機(2ストロークまたは4ストローク)の始動不良を解決するための、プロも実践する具体的な手順と対処法を解説します。このガイドに従って、冷静かつ確実にエンジンを復活させましょう。
1. 始動前の「基本中の基本」チェックリスト
エンジンをかける前に、これらの基本的な項目を必ず確認してください。
1-1. 燃料(ガソリン・混合油)の確認
燃料の種類:正しい燃料が入っていますか? 2ストローク機には**「混合油(ガソリン+オイル)」**が必要です。ガソリンだけを入れてしまうと、エンジンが焼き付く致命的な故障になります。
燃料の鮮度:**古い燃料(1ヶ月以上前のもの)**は、変質してエンジン不調の原因になります。特に混合油は劣化しやすいため、新しい燃料に入れ替えましょう。
燃料フィルター:燃料タンクの底に異物や水分が沈殿していませんか?
1-2. チョークとスロットルの位置確認
チョークレバー:始動時は**「閉(CLOSE)」または「始動(START)」**の位置になっていることを確認します。
スロットルレバー:安全のため、**「低速(LOW)」の位置か、または始動しやすいよう少しだけ開いた(アイドリングより少し上)**状態にセットします。
2. エンジン始動不良の主要な原因と対処法
基本チェックで異常がなければ、以下の手順で原因を特定し、対処します。
原因1:スターターの引き方とオーバーチョーク
何度もリコイルスターターを引いてもかからない場合、燃料が濃くなりすぎて**「プラグかぶり」(燃料過多)**を起こしている可能性が高いです。
解決法:プラグかぶりの解消
**チョークを全開(OPEN)または「運転(RUN)」**の位置に戻します。
**スロットルレバーを全開(HIGH)**にします。
そのままの状態で、リコイルスターターを10〜15回ほど全力で引きます。これは、過剰に供給された燃料を強制的に燃焼室から排出させる(パージ)ためです。
その後、スロットルを低速に戻し、通常の始動手順(チョークは開いたまま)で再度スターターを引いてみましょう。
原因2:点火プラグの不良
火花が飛ばなければ、エンジンはかかりません。始動不良で最も多い原因の一つです。
解決法:プラグの点検と清掃・交換
プラグを外す:プラグレンチで点火プラグを外します。
状態を確認:
プラグかぶり:プラグの先端が燃料で濡れていたら、プラグかぶりです。乾いた布で拭き取り、乾燥させてから戻します。
電極の汚れ:電極にカーボン(スス)が溜まっていたり、色が黒すぎたりしたら、ワイヤーブラシなどで清掃します。
損傷:電極が著しく摩耗していたり、割れていたりしたら、新しいプラグに交換します。
火花チェック:プラグをコードに繋いだまま、プラグのネジ部をエンジンの金属部分に接触させ、リコイルスターターを引きます。青白い火花が飛べばOKです。火花が飛ばなければ、プラグコードやイグニッションコイルの故障が疑われます。
原因3:キャブレター(燃料供給装置)の詰まり
長期間使用していないと、燃料がキャブレター内で劣化し、ニードルやジェットが詰まることがあります。
解決法:キャブレターの清掃または燃料ポンプの確認
**プライマリーポンプ(燃料を送る透明なプッシュボタン)**を数回押します。ポンプ内に燃料がしっかり流れてきますか?
空気が入る:燃料経路の詰まりや、ポンプ自体の亀裂が疑われます。
燃料が戻る:詰まりの可能性があります。
キャブクリーナーの使用:キャブレターのエアフィルターを外し、吸気口からキャブクリーナーを少量吹き付けてから、始動を試みます。これで一瞬でもかかれば、キャブレターの詰まりが原因である可能性が高いです。
専門業者へ:キャブレター内部の詰まりは分解清掃が必要になるため、自信がない場合は専門の修理業者に依頼しましょう。
3. その他のチェックポイントと予防策
3-1. エアフィルターの確認
エアフィルターがホコリやゴミで目詰まりしていると、空気が十分に供給されず、始動性が悪くなります。フィルターを取り外して清掃するか、新しいものに交換しましょう。
3-2. マフラーの詰まり
古い2ストローク機では、燃焼しきれなかったオイルがマフラー内に溜まり、排気を妨げて始動不良を起こすことがあります。マフラーを分解して清掃できる場合は行いましょう。
3-3. 予防策:長期保管時の処置
シーズンオフなど、1ヶ月以上使用しない場合は、以下の処理を必ず行いましょう。
燃料を抜く:タンク内の燃料を抜き取り、エンジンをかけてキャブレター内の燃料も完全に燃焼させ、空にします。
防錆オイル:プラグを外し、少量のエンジンオイルまたは防錆オイルを燃焼室に垂らしてから、リコイルスターターを数回引き、エンジン内部を保護しておきます。
これらの手順で、ほとんどの草刈機の始動不良は解決できます。冷静に一つ一つ確認し、安全に作業を再開してください。