⚔️ キックバックを避ける！草刈機で「刈る方向」を変える決定的なタイミング

草刈機（刈払機）を使った作業は、夏の必須作業ですが、間違った方向転換はキックバック（刃の跳ね返り）という重大な事故につながる可能性があります。安全で効率的な作業のためには、刈り払い機を振る方向と、方向を変えるタイミングの基本を徹底することが何よりも重要です。

この記事では、初心者の方でもすぐに実践できる、草刈機で安全に効率よく刈るための方向転換のルールと、作業を楽にする具体的なコツを解説します。

1. 🛑 大原則：絶対に「往復刈り」をしてはいけない理由

草刈り機には、安全と効率の観点から、**「右から左の一方通行」**という厳格なルールがあります。

ほとんどの草刈機（刈払機）の刃（チップソーやナイロンコード）は、上から見て**反時計回り（左回り）**に回転しています。

刈れるのは「左側」： 刃が反時計回りに回っているため、刃の左側の前方1/3の部分が、草をスムーズに切断し、刈りくずを左側へ飛ばす「刈り取りに適したエリア」になります。
危険なのは「右側」： 逆に、刃の右側で太い茎や硬い障害物（石、切り株など）に当たると、刃が回転方向に逆らって作業者側に大きく跳ね返る現象、すなわち**「キックバック」**が発生します。これは重大な事故の原因となるため、右側では絶対に刈ってはいけません。

この大原則に基づき、刈る方向を変えるタイミングは以下の通りになります。

【刈り取り】 まず、体をひねって腰の回転を利用しながら、刃の左側を使って**「右から左」**へゆっくりと振ります。
【方向転換】 左端まで振り終わったら、刈り取りをしない**「左から右」への動作は、次の刈り取り位置へ戻るための「振り戻し」**動作となります。この振り戻し時には、刃を草に当てないように注意しましょう。
【前進】 振り戻して右端に戻ったら、両足を少し前に進めて（すり足で半歩ほど）、次の刈り取り位置を確保し、再び「右から左」に刈り進めます。

**「往復刈り」**とは、この「振り戻し」の際にも草を刈ろうとすることであり、キックバックのリスクを高めるため、絶対に避けてください。

方向転換と前進をスムーズに行うことは、作業効率だけでなく、疲労軽減にも直結します。

刈り幅（振り幅）を約1.5m程度とし、刈り終わったら、それに合わせて右足から左足へと、少しずつ（半歩ずつ）前進します。

歩幅を小さく： 大股で進むと、次の刈り取り位置がずれたり、体勢が不安定になりがちです。小さな歩幅のすり足で、刈り残しがないよう丁寧に前進しましょう。
腰の回転を意識： 腕だけで振るのではなく、腰の回転と連動させて草刈機を振ることで、腕の疲労が軽減され、安定した刈り高さを維持できます。

作業中は、刃先を地面に付けてしまうとキックバックの原因になったり、刃が摩耗してしまいます。

刃先を浮かせる： 刈り取りは、回転刃を地面から数センチ浮かせて行うのが基本です。
ジズライザーの活用： 地面を滑らせるように刈りたい場合は、アタッチメントであるジズライザーなどを装着すると、安定した高さで刈れ、体への負担も大幅に軽減されます。

斜面での草刈りは、安全第一です。平地とは異なる方向転換のルールがあります。

斜面や法面を刈る際は、**上から下ではなく、必ず「下段から上段へ」**と順番に刈り進めるのが基本です。

刈った草の処理： 下から上へ刈り進めると、刈った草が下へ落ちるため、次に刈る草の上に重ならず、作業がスムーズになります。上から刈ると、刈り草が絡まりやすく、足場も見えにくくなります。
足場： 急斜面では、法尻側（斜面の下側）にある左足を軸足として安定させ、斜面と並行に移動しながら刈り進めます。

斜面であっても、刃の回転方向は変わりません。

斜面に対して横移動： 斜面に沿って横移動しながら、刃は必ず**「右から左」**に振りましょう。この際、刈った草は自動的に低い側（左側）に倒れるため、後片付けも楽になります。
高い草の処理： 草丈が長い場合は、一度で根本を刈ろうとせず、まず草の上半分だけを刈り落とし、その後、根元を刈るという二段階刈りにすると、刃への負担が減り、絡まりを防げます。

草刈機を正しく扱うための**「右から左の一方通行」と「振り戻し時の方向転換」**をマスターすれば、作業の安全性と効率は格段に向上します。基本を意識して、快適な草刈り作業を実現しましょう。