絶対事故を起こさない！草刈機（刈払機）作業前の「周囲安全確認」徹底マニュアル
草刈機（刈払機）を使った作業は、夏の雑草対策に欠かせないものですが、その高速回転する刃は、一歩間違えれば重大な事故を引き起こす原因にもなります。特に、作業前の周囲の状況確認をおろそかにすると、飛来物（飛び石）による被害や不意の接触事故のリスクが格段に高まります。
この記事では、あなた自身の安全はもちろん、周囲の人や物を守り、作業をスムーズに進めるための**「草刈機作業前の周囲安全確認方法」**を、具体的な手順に沿って詳しく解説します。この徹底マニュアルを活用し、安心・安全な草刈り作業を実現しましょう。
1. 作業場所の「危険予知」：異物と構造物の徹底チェック
草刈り作業の最大の敵の一つは、草の陰に隠れた**「見えない危険」です。これを作業前に見える化**することが、安全確認の第一歩となります。
(1) 硬い異物（飛散物リスク）の除去
刈刃が硬いものに当たると、その異物や刈刃の破片が猛スピードで飛び散ります（飛来物事故）。作業予定地を歩いて、以下のものを必ず事前に撤去しましょう。
小石、砂利：特に地面がむき出しの場所は注意。
空き缶、ガラス片、ビン：不法投棄されやすい危険物。
金属片、釘、針金（番線）：巻き付きや飛散、キックバックの原因に。
木の破片、切り株：特に硬いものはキックバックの最大の原因。
太いツルやロープ：刈刃に絡みつき、機体の制御を失う原因に。
【💡具体的な対策】
広い場所で小石が多い場合は、竹ぼうきや**レーキ（熊手）**を使って表面の石を隅に寄せるなど、異物除去を徹底してから作業に入りましょう。
(2) 構造物・危険箇所への目印設置
動かせない障害物や地中に埋まったリスクには、目印をつけて刈り残すエリアを明確にします。
測量杭、境界杭、L字溝の端、露出した配管（水道・ガス・電線など）
庭木や樹木の根元
フェンスの基礎、コンクリートの塊
【💡具体的な対策】
これらの障害物には、目立つ色のテープやカラーコーンを設置し、刃を近づけないよう意識づけましょう。障害物の周囲は、無理をせず**手刈り（鎌など）**に切り替える判断が重要です。
(3) 地形の確認と足元の安全確保
作業者自身の転倒やバランス喪失も事故につながります。足元の状態を事前にチェックしましょう。
地面の凹凸、穴、溝：足を滑らせたり、踏み外したりしないか。
急な傾斜地：滑りやすい場所や不安定な体勢での作業を避ける。
濡れた草や泥：雨上がりや朝露で足元が滑りやすくなっていないか。
【💡具体的な対策】
スパイク付きの安全靴や、長靴を着用し、足元が不安定な場所では低速で慎重に作業するなど、作業方法を調整します。
2. 「人」と「車」の安全距離：15メートルルールの徹底
草刈機の刃から飛び散る石や金属片、またはキックバックで機体が跳ねる範囲は、驚くほど広大です。人や駐車中の車に対する安全確認は、最も重要なチェック項目です。
(1) 安全距離の確保（15メートルルール）
専門機関では、草刈機作業者の半径15メートル以内を**「危険区域」**と定め、人の立ち入りを禁止することが推奨されています。
作業者以外の人を遠ざける：
家族、近隣住民、通行人、ペットなどが作業エリアに近づかないよう、作業開始前に声かけを行い、作業中も常に周囲を見渡す意識を持ちましょう。
立ち入り禁止の明示：
可能であれば、「草刈り作業中」「立入禁止」の看板、カラーコーン、ロープ、ネットなどを設置し、作業範囲を物理的に区切ることが効果的です。
(2) 車両・建物の保護
飛来物が当たると窓ガラスや車のボディ、外壁に傷や凹みを与えることがあります。
駐車中の車への配慮：
自宅や近隣の車、作業エリアに面した車の駐車位置を確認します。車に近い場所で作業する場合は、低速で刈る、刈刃の向きを車と反対側に向ける、飛散防止ネットを設置するなどの対策を講じましょう。
窓ガラスの養生：
建物の窓ガラスの近くで作業する場合も、養生シートやブルーシートなどで保護し、飛来物から守りましょう。
(3) 共同作業時の合図とルール
複数人で作業を行う場合は、作業者同士の連携が不可欠です。
安全な間隔の維持：
作業者同士も15メートル以上の間隔を空けて作業しましょう。
接近時の合図：
やむを得ず作業者に近づく必要がある場合は、15メートル以上離れた安全な場所から笛や声で合図を送り、作業者がエンジンを止め、刈刃が完全に停止したのを確認してから接近しましょう。後ろから声をかけたり、肩を叩いたりするのは、作業者が驚いて機体を振り回し、大変危険です。
3. 最後の仕上げ：体調と装備の確認
周囲の安全確認と並行して、作業を始める直前には自分自身の状態と装備も最終チェックしましょう。
体調の確認：
熱中症対策（水分、塩分）、睡眠不足、体調不良がないか確認します。体調不良は集中力の低下を招き、重大な操作ミスの原因になります。
保護具の完全装着：
ヘルメット、保護メガネ（フェイスシールド）、防振手袋、安全靴（スパイク）、すね当てなど、規定の保護具を全て正しく着用しているか確認します。特に顔や目への飛来物対策は徹底しましょう。
機体の最終点検：
刈刃の緩み、飛散防護カバーの確実な装着、ストップスイッチの動作確認など、機械の点検リストに沿って最終チェックを行います。
草刈り作業の安全は、事前準備で9割決まります。これらの周囲安全確認のステップを習慣化し、一つも欠かすことなく実行することで、不慮の事故を防ぎ、快適で安心な作業環境を守りましょう。