爆発・火災から身を守る!草刈機の燃料取り扱い「究極の安全マニュアル」
田畑や庭の草刈りに欠かせない草刈機(刈払機)。エンジン式モデルの燃料であるガソリンや混合燃料は、取り扱いを誤ると火災や爆傷事故につながる大変危険な物質です。
「うっかり」が命取りになる前に、燃料の準備、給油、保管のすべての段階で徹底すべき安全ポイントを学びましょう。これらのルールを守ることが、あなたの安全を守り、草刈機を故障から守るための最重要項目です。
1. 【基本のキ】給油作業における「鉄則」安全ルール
最も事故が起きやすいのが燃料を補給する瞬間です。以下の3つのルールは、何を差し置いても必ず守ってください。
① エンジンを必ず停止し、十分に冷やす
燃料の蒸気は、わずかな火花や高温部に触れただけで引火します。
完全停止:給油の際は、必ずエンジンを停止してください。
冷却待機:停止直後のエンジン本体、特にマフラーやシリンダー(排気口)は非常に高温になっています。熱い状態で給油すると、こぼれた燃料の蒸気が引火し、火災や爆発事故につながります。最低でも5分〜10分程度待ち、エンジンが十分に冷えてからキャップを開けてください。
② 火気・静電気の徹底排除
ガソリンの蒸気は空気よりも重く、地面を這うように広がる性質があります。
周囲の火気厳禁:給油場所では、タバコ、ライター、焚き火などの火気を絶対に近づけないでください。
静電気対策:乾燥している時期は静電気が溜まりやすく、これが引火源になることがあります。給油を始める前に、携行缶や草刈機の金属部に触れる、または手のひらを地面に当てて、作業者の体に溜まった静電気を逃がしましょう。
③ 給油場所と後始末
場所の選定:給油は、風通しの良い屋外で、周囲に枯草や紙などの可燃物がない平坦な場所を選んで行います。
漏れ拭き取り:もし燃料をこぼしてしまったら、その場から完全に拭き取ってください。燃料が染み込んだ布やウエスも放置せず、安全な場所で処理します。
給油後の移動:給油した場所でエンジンをかけると、周囲に漏れたわずかな蒸気に引火する危険があります。給油が完了しキャップを締めたら、3メートル以上離れた場所でエンジンを始動しましょう。
2. 混合燃料の調合と携行缶の「正しい使い方」
2サイクルエンジン用の混合燃料を扱う上での、安全で確実な方法をご紹介します。
① 混合燃料の調合時のポイント
比率厳守:ガソリンとオイルの混合比率は、必ずメーカーの指定比率(例:25:1、50:1)を守ってください。比率が薄すぎるとエンジンが焼き付き、濃すぎると不完全燃焼やカーボン蓄積による故障の原因になります。
専用容器で撹拌:必ず専用の調合容器や携行缶で指定量を作り、使用前にはしっかり**撹拌(かくはん)**して均一に混ぜてください。
② 携行缶の「選び方」と「保管」の鉄則
ガソリンの運搬・保管には、消防法で定められた安全基準があります。
金属製携行缶:ガソリンは揮発性が高く、静電気も発生しやすいため、運搬・保管は必ず消防法に適合した金属製の携行缶を使用してください。灯油用のポリ容器は、ガソリンには絶対に使用できません(変形・破損・静電気引火の危険があります)。
高温・直射日光を避ける:携行缶を**直射日光の当たる場所や、高温になる場所(特に夏の密閉された車内や物置)**に保管しないでください。内部の圧力が急上昇し、キャップを開けた瞬間に燃料が勢いよく噴き出したり、容器が破裂したりする危険があります。
エア抜き:携行缶の蓋を開ける前には、必ずエア抜きネジをゆっくり緩めて、内部に溜まった圧力を抜いてください。これを怠ると、燃料が噴出し大変危険です。
3. トラブルを防ぐ「燃料の鮮度」と「メンテナンス」
安全な運転には、燃料の品質管理と機体の点検も欠かせません。
① 古い燃料は「エンジンの寿命」を縮める
劣化を避ける:混合燃料は時間経過とともに劣化し、タール状の物質が発生してキャブレター内で詰まりを起こし、**エンジントラブル(始動不良、アイドリング不調など)**の原因になります。
使い切りが基本:理想は、燃料はその日に使い切ることです。1ヶ月以上経過した古い燃料は、エンジンのためにも使用を避けてください。
② 長期保管前の燃料抜き
燃料抜き:シーズンオフなどで30日以上草刈機を使用しない場合は、燃料タンクから残った燃料を抜き取りましょう。
キャブの燃料も燃焼:さらに、抜き取った後にエンジンをかけ、自然に停止するまで運転し、キャブレター内に残った燃料も完全に燃やし切ることが、次シーズンにスムーズに始動させるための重要なメンテナンスです。
これらの安全管理とメンテナンスを習慣づけることで、あなたとあなたの草刈機を危険と故障から守り、長く安全な草刈りライフを送ることができるでしょう。
使用中に異常な振動や異音を感じたら、すぐにエンジンを停止して点検してくださいね。