草刈機が「ガタつく・異音がする」時の対処法:シャフト・軸の摩耗を自分で確認するチェックリストとメンテナンス
はじめに:あなたの草刈機から「異音」や「ガタつき」はありませんか?
草刈機(刈払機)を使っているとき、「キーキー」という異音がしたり、刃の回転部分にガタつきを感じたりすることはありませんか?
これらの症状は、草刈機の動力部分であるシャフト(駆動軸)や、刃を固定しているギヤケース(減速機)内部の軸が摩耗しているサインかもしれません。シャフトや軸の摩耗を放置すると、故障や振動の増加、最悪の場合、作業中に刃が外れるといった危険なトラブルに繋がる可能性があります。
この記事では、草刈機のシャフトや軸の摩耗を自分で確認するためのチェックリストと、摩耗を最小限に抑えるためのメンテナンス方法を徹底解説します。大切な草刈機を安全に、そして長く使い続けるための必須の知識を身につけましょう。
1. 摩耗確認の基本!「異音」と「ガタつき」チェックリスト
草刈機が故障を始める際、必ず発生する2つのサインを、作業前・作業中に確認しましょう。
1-1. 【異音チェック】「キーキー」「キュルキュル」音の原因
特に負荷をかけていないアイドリング時や、スロットル(アクセル)を開けた時に発生する異音は、**ベアリング(軸受け)**の摩耗が原因である可能性が高いです。
| 異音のパターン | 考えられる摩耗箇所 | 備考 |
| 「キーキー」「キュルキュル」 | ギヤケース内部のベアリング、またはクラッチ周辺の摩耗。 | ベアリング内のグリス切れが主な原因。潤滑不足で金属が擦れている音。 |
| 「ガラガラ」「ゴロゴロ」 | ギヤケース内部のギヤ(歯車)またはベアリングの深刻な損傷。 | 金属片が内部で暴れている可能性があり、即座に使用を中止すべき危険なサイン。 |
1-2. 【ガタつきチェック】シャフトやギヤケースを揺らして確認
刃やギヤケースを手で揺らすことで、摩耗度をチェックできます。
エンジン停止と安全確保: 必ずエンジンを完全に停止し、プラグキャップを外して誤作動を防ぎます。
ギヤケースのチェック: チップソー(刃)を外し、ギヤケースの軸の先端を掴みます。軸を左右・上下に揺らしてみて、カタカタという過度な遊びやガタつきがないか確認します。
摩耗サイン: 軽微なガタつきはありますが、明らかに大きな動きがある場合は、ギヤケース内部のベアリングの交換が必要です。
シャフトのチェック: ギヤケースとシャフトの接続部分付近を握り、グッと揺らしてシャフトに緩みがないか確認します。
2. 摩耗を最小限に抑える「グリスアップ」メンテナンス
摩耗の最大の原因は、**潤滑不足(グリス切れ)です。定期的なグリスアップ(注油)**は、摩耗対策として最も効果的です。
2-1. ギヤケースへのグリス注入手順
ギヤケースは、高速回転する歯車が詰まっているため、定期的なグリス補給が不可欠です。
注入口の確認: ギヤケース側面にある**グリスニップル(ネジ状の注入口)**を探します。多くの場合、小さなマイナスネジで蓋がされています。
古いグリスの排出: ネジを外し、グリスガンまたは専用のチューブを注入口に差し込みます。古いグリスがわずかに滲み出てくるまで、ゆっくりと新しいグリスを注入します。
注入量の目安: 新しいグリスが注入口からわずかに溢れ出る程度で十分です。入れすぎると抵抗となり、熱を持つ原因になります。
2-2. グリスアップの頻度
目安: 25〜30時間の作業ごと、またはシーズン終了時の長期保管前に必ず行いましょう。
推奨グリス: モリブデン入りなどの高品質なグリスを使用することで、熱や摩擦への耐性が高まります。
3. シャフトの摩耗を防ぐ「日常の注意点」
ギヤケースだけでなく、本体のシャフトも日々の使い方で摩耗を抑えられます。
3-1. 適切な「シャフト潤滑」を意識する
シャフト自体にはグリス注入ができない構造が多いですが、シャフトを囲むパイプの内部には**ベアリングやブッシュ(樹脂製の軸受け)**が入っています。
ベアリング交換のサイン: シャフト部(パイプ)を握ってアイドリングさせたとき、特定の場所で異常な熱を感じる場合、その内部のベアリングが摩耗している可能性があります。この場合は、分解・交換が必要です。
3-2. 刃の「バランス」を常にチェックする
アンバランスの弊害: チップソー(刃)が曲がっていたり、片方だけ極端に摩耗していたりすると、回転時に大きな振動が発生します。この振動がシャフトやベアリングに余計な負荷をかけ、摩耗を加速させます。
対処法: 刃が曲がっていたらすぐに交換し、作業前には刃がまっすぐに取り付けられているか確認しましょう。
おわりに:安全作業は「点検」から始まる
草刈機のシャフトや軸は、高速回転を支える**「要」**となる部品です。
「キーキー」という異音や、「ガタつき」といったサインを見逃さず、定期的なグリスアップと日常的な点検を行うことで、草刈機は劇的に長持ちし、快適で安全な作業を続けることができます。
シーズンオフやシーズンイン前の点検を習慣化し、大切な道具を末永く愛用していきましょう。