
水中環境に及ぼす尿素の影響
はじめに・・・・・
本書では、水生システムへ与える影響を簡単にまとめてあります。
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表1 水中での滅成物質 加水分解を促す酵素ウレアーゼの力を借りて、バクテリアは尿素を素早く下記のように滅成させます。
アンモニア(NH3)は更に酸化して硝酸塩(NO3)に成り得ます。 |
水中での滅成
右の表1に示される様に、尿素は生体的に二酸化炭素とアンモニアに滅成します。 ここで生じたアンモニアは、下記のいずれかの道をたどります。
理論上では、尿素を最終的な産物であるCO2 及びNH3 に生物分解させるには、尿素1mg あたり0.27 mgの酸素が必要になるといえます。注1
この酸素需要量からすると、 NH3 が更にNO3滅成しないと言えます。しかしながら、尿素から滅成るしたNH3 は、土壌に入って更に硝酸塩(NO3)に滅成します。
ここで重要なのは、滅成率がどの程度であるかと言うことです。 滅成の度合いが早ければ早いほど、次の2つの懸念が生じます。
1) BODによる、酸素の消耗
2) アンモニアによる毒性
アンモニアの毒性
滅成の産物となる唯一の大きな毒物はアンモニア (NH3)です。 アンモニアは非常に少量でも、水生動物、特に魚にとっては毒性を発揮します。 水生物にとって根本的に毒性であることは、アンモニアの形状がアンモニアイオン(NH4+)でなく、イオン化していない種類(NH3)であると言うことです。 (. pH と温度が高くなれば高くなるほど、NH3の形成を促進します。)
アメリカ 環境保護局(EPA)は魚への毒性に基づいたアンモニアの基準注2を定めました。 (冷水魚は、温水魚に比べて、アンモニアに対してはより敏感なのです。) EPAのアンモニア基準は、NPDESのアンモニアの許認可制限の為にしばしば利用されています。
下記のグラフ 1は、EPAのアンモニア基準から算出した、流出時のアンモニアの最大含有許容量を示しています。注3 流出時に許容されるアンモニアの最大含有量はきわめて低い数値となっています。 例えば、流出温度が0℃でpH
7.5の場合、アンモニア含有量の最大許容量はわずかに30
ppmとなっています。 尿素の水溶液が流出した場合は、雄に1000
ppmを越えてしまうのです。
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| グラフ1: 尿素が全てアンモニアに減成したと仮定した場合の、サケ科の魚が生息している水中への尿素流出時の最大許容量。 |
藻類の大量発生は、水流の先や湖付近の住民への美的価値観の問題(悪臭等)にもつながります。
1: もしもNH3 が更に滅成して(NO3)になった場合、 論理的な酸素需要量(TBOD)は、尿素1mgあたり、酸素 1.87 mgに増加します。
2: アメリカ環境保護局(U. S. Environmental Protection Agency)報告書及び基準 "Quality Criteria for Water, 1986," Report No. EPA 440/5-86-001, U.S. EPA, Office of Water Regulation and Standards, Washington, DC, May 1, 1986.
3: この計算では、全ての尿素がアンモニアに減成すると見ています。 調査分析では、尿素は河川の水温20℃の時、4〜6日で完全に減成することを示しています。また、8℃以下では、減成はわずかしか生じません。